はじめに
現在、日本の各分野において人手不足が深刻化している。特に建設分野ではこれまで活躍してきた団塊世代が10年後には引退してしまう中で、若い世代の労働力確保が喫緊の課題となっている。そのような中で外国人材の採用に力を入れる建設企業も増えてきてるが、まだまだ外国人材の制度や活用方法について、業界に広く普及しているとは言い難い。本記事では、建設業界で外国人材を活用するにはどのような方法があるのか、またその中でも特に日本に在留している人数が多いベトナム人材の活用方法について解説していきたい。
建設業界はコロナ後も着実に成長していく見込み
2021年に行われた東京オリンピック・パラリンピックにより建設業界への投資額は順調に増加してきた。さらに2025年には大阪万博の開催、2027年には東京-名古屋間のリニア中央新幹線が開通するなどの予定が目白押しで、しばらく建設業界の成長は続いていく見込みである。
上の図表は国土交通省が発表した建設投資の見通しであるが、2015年以降、順調に投資額が増加していることが確認できる。
このように建設分野の仕事量が増えていく中で、労働力の確保が、企業が取り組むべき課題である。
新たな外国人材「特定技能」とは
このような人手不足の状況を踏まえて、日本政府は「特定技能」という、新たな外国人材の受入制度を開始した。この制度では、建設分野の元技能実習生や、試験に合格して一定レベルの知識・技能を備えた外国人材を、企業が直接雇用して受け入れることができる。
特定技能と技能実習の違い
これまで外国人材の受け入れとしては「技能実習」がよく知られていた。しかし技能実習の目的はあくまで「日本の進んだ技術の海外移転」を目的としたものであり、労働力の確保ではない。そのため、技能実習生が従事できる業務内容、雇用形態などに厳しい制限がかけられていた。また技能実習生は基本的には業界・職種未経験の人材を受入れるため、戦力となるまでに育成するには時間がかかっていた。さらに技能実習生の受け入れには毎月「監理団体」と呼ばれる技能実習生を監理する組織に管理費用を払う必要があり、コストも大きかった。
技能実習と比較した、特定技能のメリット
一方で特定技能は「労働力の確保」という目的で開始された制度である。そのため、企業にとっても外国人材にとっても、日本人を雇用する際と同じような扱いができるようになっている。また特定技能として受け入れる人材は、以前に技能実習として働いたことがあったり、試験にパスしたりという条件をクリアしているため、すぐに戦力となる人材を受入れることが可能だ。
特定技能外国人の受け入れ方法
特定技能制度を使って外国人材を受け入れるには主に2つのルートがある。国外から外国人材を呼び寄せる方法と、国内にいる外国人材を特定技能として受け入れる方法である。
特定技能外国人の条件
特定技能外国人として日本で就労が可能になるためには、以下のどちらかの条件を満たす必要がある。
条件1:各種試験への合格
特定技能外国人として日本で就労するには、以下の試験に合格していることが必要になる。
①「日本語能力試験(JLPT)4級以上」あるいは「国際交流基金日本語基礎テスト A2レベル以上」に合格していること
②各分野の「技能評価試験」に合格していること
日本語能力試験 または 日本語基礎テスト
日本語能力試験はJLPTと呼ばれ、、毎年7月と12月に国内外で実施されている。特に最近は試験希望者が多く人数制限がかかることもあるため、試験の募集が始まったら早めに申請を行うことが必要だ。
また国際交流基金が行っている日本語基礎テストは、JLPTよりも高い頻度で行われている。JLPTと比較して認知度が高くないが、早めに日本語の試験を受けたい外国人は日本語基礎テストの受験もおすすめしたい。
技能評価試験
技能評価試験は、特定技能の分野ごとに行われている。建設分野の場合は、建設技能人材機構(JAC)が試験を実施しており、試験内容も各職種で分かれている。JACのホームページでは過去問やテキストも公開されているため、参考としていただきたい。
建設分野における特定技能1号評価試験|JAC|一般社団法人 建設技能人材機構 (jac-skill.or.jp)
条件2:技能実習2号までを良好に修了している
技能実習ですでに建設分野で働いており、技能実習2号までを修了している人材は、上述の試験を受けることなく特定技能外国人になることができる。これは、特定技能制度が経験を有する即戦力を受入れる目的で作られているためである。
特に建設分野では、試験を受けて特定技能外国人になる人よりも、技能実習から移行する人の数が多くなっている。
特定技能外国人を受け入れることができる職種
建設分野においては、特定技能外国人を受け入れることが出来る職種が決まっている。現在は下記の18職種にて受け入れが可能となっている。
- 型枠施工
- 左官
- コンクリート圧送
- トンネル推進工
- 建設機械施工
- 土工
- 屋根ふき
- 電気通信
- 鉄筋施工
- 鉄筋継手
- 内装仕上げ/表装
- とび
- 建築大工
- 配管
- 建築板金
- 保温保冷
- 吹付ウレタン断熱
- 海洋土木工
企業が行う事業がこれらの分類に当てはまるかどうかを、外国人材の受け入れ前に確認することが必要だ。それぞれの職種に含まれる業務内容は国土交通省の公表資料を確認されたい。
建設分野における特定技能外国人はベトナム人材が最多
統計によると、建設分野においてはベトナム人材が国籍別で最多の特定技能外国人数となっている。そのため、建設企業が外国人材を採用しようと考える場合には、ベトナム人材の採用方法を抑えることが非常に重要である。
人材の採用方法は国籍によって異なる
人材を効果的に募集・採用する方法は国籍によって異なる。例えば日本人の場合であれば、求人サイトに求人情報を掲載することで多くの人材が集まってくる。しかしベトナム人の場合はそうした求人サイトよりもFacebook等のSNSにより募集する手法が主流である。外国人材を採用するためには、こうした国籍による採用手法の違いを理解する必要がある。
まとめ
今回は建設分野における特定技能外国人材の活用方法について解説を行ってきた。特にベトナム人材は同分野の特定技能外国人の中でも7割以上を占めており、今後も採用する企業が増えてくると予想される。
ONE-VALUE株式会社では、建設分野におけるベトナム人特定技能外国人の採用・育成のサポートも行っている。各種手続きも含めてベトナム人材の採用を検討する際には、ぜひそうした外国人材の採用コンサルタントへご相談することをおすすめする。
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ベトナム人材採用の成功のコツ
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メリット① ベトナム人材に特化した採用コンサルティング会社
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メリット② 技能実習、特定技能から高度人材まで幅広い採用ニーズに対応
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