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ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】

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ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】

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はじめに
この記事で伝えたいこと
  • ベトナムは国土が南北に広いため、地域ごとに歴史や文化、考え方、性格が大きく異なる。ベトナムの消費市場でビジネス展開を検討している日本企業にとってはこの地域の違いを理解することが重要である。
  • 消費スタイルの傾向として、北部には堅実で内気な人が多く、南部にはおおらかで楽観的な人が多い。新しい商品を積極的に購入する特徴は特に南部で見られる。
  • いずれの都市も、経済発展・所得増加に伴う消費市場としての大きなポテンシャルを秘めている。

はじめに

ベトナムは南北に細長い国土をしているため、地域によって人々の考え方や価値観、歴史、文化、気候、消費スタイルも大きくこと異なります。

ベトナムは日本人が想像するよりも多様性を含んだ国です。例えば、ベトナムでは53の少数民族が生活しており、人口の約86%はキン族(越人)で、残りの約14%が少数民族です。これはベトナムよりも広大な国土を持つ中国でも55の少数民族が存在していることを考えると、ベトナムも多様性な背景を持つ人々の集団であるとことが理解できます。

特に、ベトナム消費市場でモノやサービスの販売を検討されている方にとって、ベトナムの地域ごとの違いを理解することは非常に重要なことです。

ベトナムの主要都市

日本の0.88倍、日本から九州を除いたくらいの国土面積であるベトナムは、大きく北部・中部・南部と3つに分けて考えると理解しやすいです。各地域の最大の都市としては、ハノイ(北部:ベトナムの首都)、ホーチミン(南部:ベトナム最大の都市)、ダナン(中部最大の都市)です。ここにハイフォン市(北部)とカントー市(南部)を加えた5都市を「中央直轄市」と呼びます。

特にハノイはベトナムの首都であり、国際会議などが多く開催されます。また、ハノイにはホーチミン、ダナンに比べ歴史的な街並みが多く残っています。この2点から、ハノイは政治・文化の街と表現されていることもあります。

一方で、ホーチミンはベトナムの中でも最も人口が多い首都です。外資系企業の拠点が多く設けられており、経済の都市とも呼ばれています。

世界の海外在住者向けのコミュニティサイトInterNationsによると、2019年、ホーチミンは外国人が住みやすい街として世界3位に選ばれています。物価や住環境の良さ、仕事のしやすさ、国民の親しみやすさなどが理由としてあげられています。

ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】:ゴールデンブリッジ
(画像)ダナン、ゴールデンブリッジ (出所)FOUND THE WOULD

ダナンは、ベトナム人からも外国人からも非常に人気の高い観光スポットとして有名な港湾都市です。ホテルが多いのはもちろんのこと、広々としたビーチや大理石でできている五行山、夜のライトアップが美しいドラゴン橋など街に多くの観光地があることが特徴です。

ベトナムの地域ごとの違い

ベトナムは地域ごとに歴史や文化によって人の気質や人間関係、消費スタイルに違いがあります。
これからビジネスを展開していく上で、地域ごとの特性を理解することが重要でしょう。

本レポートでは北から順番に紹介していきます。

ハノイ(Ha Noi)

ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】:文学の寺
(画像) 文学の寺 (出所)TOURIST

ベトナムの首都ハノイの人口は約809万人で、ベトナムで2番目に人口の多い都市です。北部の紅河デルタ地方にあり、面積は約3,300㎢と鳥取県より小さいです。

ハノイの歴史・文化

ハノイの歴史は「1000年の歴史を持つ街」として有名で、その歴史の始まりは7世紀に遡ります。
7世紀、中国の唐が安南都護府を置き、ハノイを支配拠点としました。しかし、唐末にはその支配は重要性を持たなくなっていきました。その後、11世紀に李朝がハノイを都と定め、農業地帯を統治する拠点としました。
1802年にが阮朝(グエンちょう)が都をフエに移すまで王都として繁栄していました。

ハノイの観光地としても有名で2002年にユネスコ文化遺産に登録されたタンロン遺跡(昇竜)は、当時の都の中枢部にあたります。都が移された後、昇竜(タンロン)、東京(ドンキン、トンキン)、東都(ドンドー)などと呼ばれていましたが、1831年、正式にハノイ(河内)と名付けられました。
ベトナムの主要都市の中でも中国に近く、中国式の文化の影響を強く受けています。

ハノイ人の性格

ハノイ人の性格はしっかりとしていて真面目で勤勉な人が多いという特徴があります内気な人やシャイな人も多く、こちらから心を開かないと相手も開いてくれない場合もあるかもしれません。少し日本人と近い部分もあります。

ハノイ人の消費スタイル

ハノイ人の消費スタイルはホーチミン人と比べて控えめで慎重と言われています。

2019年にベトナム国内の主要都市で1000人を対象に行った消費者動向のアンケートによると、ハノイの人々は支出に対して、ベトナム他地域よりも積極的ではないことが判明しています。

ただ近年のベトナムでは所得増加が著しいので、ベトナム他地域より控え目でも消費市場としては十分魅力的と言えます。

ハイフォン(Hai phong)

ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】:ハイフォンの港
(画像) ハイフォンの港 (出所)VIMC

ハイフォン市はハノイ・ホーチミンとともに中央直轄市で、北部最大の港湾都市です。もともとは小さな漁村で10世紀頃から徐々に海上交通が始まりました。15世紀には外国船も往来するようになり、1870年阮朝が波止場を建設し、外国船との交易をできる商館、さらに海防のための兵力を駐屯させました。それによりいつしかハイフォン(海坊)と呼ばれるようになりました。

歴史・文化

ハイフォン市はフランス領インドシナの植民地として、石炭の輸出港から発展していきます。

1888年、フランス領インドシナ植民地下で、市へと昇格しフランス海軍極東最大の基地となりました。その頃からホンゲイ(Hong Gai)石炭の輸出港として発展していきました。
1955年、フランスからの植民地時代が終わっても、ベトナム戦争が起こった1964年以降は米軍の空襲や航空機による機雷封鎖によって大きな被害を受けました。しかし、戦後は工業都市としてたくましく再建されました。
1993年には、ベトナム最初の輸出加工区として認定され、香港などから投資を受け輸出基地として発展しています。現在はベトナム北部の「重要経済中核」と言われ、北部第2の工業地帯です。加えて稲作、漁業も盛んです。

ハイフォン人の性格

ハイフォン人の性格ですが、ハイフォンに誇りを持っている人も多いそうです。言い換えれば、地元愛が強い傾向があります。ベトナム人の中でも、少々昔気質だと言われる場合があります。

消費スタイル

ハイフォン人の消費スタイルですが、ハイフォンは北部のハノイに近い場所に位置しています。そのため、消費スタイルも前述したハノイ市の人々に近いと言われています。

ハイフォン人は南部の人よりも財布のひもは固いです。しかしベトナム全体の経済成長と所得増加に伴って、ハイフォンは十分大きな消費市場になるポテンシャルを秘めています。

ダナン(Da Nang)

ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】:ドラゴン橋
(画像)ドラゴン橋 (出所)ADV MOTORCYCLE TOURS 

ダナンはベトナムの主要な港湾都市です。中部に位置し、観光地として栄えています。人口は約121万人です。これはベトナムだと5番目に多く、日本と比較すると広島市の人口に近い数字です。

歴史・文化

ダナン市の歴史は小さな漁村から始まります。

ダナンは16世紀頃、もともと小さな小漁村に過ぎませんでした。しかし18世紀になると、ホイアン港が砂の堆積によって徐々に使用できなくなっていたため、ダナン港が成長し始めました。

1835年には阮朝の明命帝は全ての欧州選をダナンに入港するよう勅令したため、ダナンはベトナムの中部最大の港となりました。
その後、約40年ほど戦争を経て1889年、当時フランスの支配下であったダナン市がクアンナム省から切り離され、トゥーランと改名されました。そしてハノイ、サイゴン、ハイフォン、フエに並ぶ5大総督直轄地のひとつとされました。
ベトナム戦争後、一度ダナン市はクアンナム省と合併をし、大規模な産業都市として発展をするが再び1996年にクアンナム省と分離し、今のダナン市となりました。

ダナン人の性格

ダナン人の性格は聡明、優しい人が多いと言われています。北部と南部に間にありますが、どちらかといえば南部の人の性格に近いです。
しかし、進学・就職のタイミングで中部の人は北部や南部などに移動してしまう傾向があります。

消費スタイル

ダナン人の消費スタイルはホーチミン人と同様に南国気質で楽観的であると言われています。コロナが収束し、観光業がふたたび盛んになると、一大観光地であるダナン市の経済はより発展していきます。そうなると、ダナン市の消費市場も、ハノイ・ホーチミン両市のように拡大していくでしょう。

ホーチミン(Ho Chi Minh)

ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】:ホーチミンサイゴン大教会
(画像)サイゴン大教会 (出所)TWO DAYS IN HO CHI MINH CITY, VIETNAM

ホーチミン市の始まりは、森の中の街という意味を表すクメール語、プレイノコール(Prey Nokor)という小さな漁村です。現在市街地が広がっているところはもともと沼地で、ベトナム人が16世紀後半か17世紀以降に入ってくるまでは長い間クメール人が住んでいました。

歴史・文化

ホーチミン市は以前はサイゴンと言われていましたが、1976年に市名をサイゴン市からホーチミン市に改名されました。「ホーチミン」はベトナム革命を指導した建国の父「ホー・チ・ミン(Ho Chi Minh)」の名前から来ています。

ホーチミン市の歴史を簡潔に解説します。

1623年、カンボジアの王チェイ・チェッタ2世は鄭阮戦争で阮氏広南国から流出した難民をプレイノコール一帯の定住者として受け入れるため、移住を許可しました。

その頃、カンボジア王国はシャム(タイ王国の旧名)との戦争により弱体化しており、ベトナム人定住者が増えていくのを抑えることができず、徐々にベトナム化していきました。
1698年にはフエの阮氏の頭領によってグエンフーカインが送り込まれ、サイゴンとして発展が進んでいきます。
1862年には、サイゴン条約でフランスによるコーチシナ支配を受け、サイゴン市街に数多くの西洋風の建築物が建てられるなど、フランスの影響を強く受けました。
1945年、ディエンビエンフーの戦いでフランス軍は敗戦し、インドシナ半島から撤退していきました。その後、北ベトナムと南ベトナムで争ったベトナム戦争終結後である1976年に、サイゴンから現在のホーチミン市へと改名されました。

ホーチミン人の性格

ホーチミン人の性格は南国気質と言われることも多く、外国人などにも開放的に接すると言われています。ホーチミン人の性格の特徴として、おおらかであまり人見知りをしないので、商売上手などとも言われています。かなり大雑把な言い方をすると、ハノイの人は東京の人に近く、ホーチミンの人は関西の人に近いです。

ホーチミン人の消費スタイル

ホーチミン人の消費スタイルはハノイ人よりも、購買意欲が強く新しいもの好きと言われています。ホーチミンに進出している外資系の飲食業などは、高価格で高品質なサービスを提供する傾向があります。

カントー(Can Tho)

ベトナム地域別の特徴・消費スタイル考察【北部・中部・南部】:カントー
(画像)メコンデルタ地域最大の都市であるカントー市 (出所)SMMR 

カントー市はベトナム南部、メコンデルタ地域最大の都市です。ホーチミン市から西へ160㎞離れています。

カントーのあるメコンデルタ地域は「ベトナムの穀倉」と呼ばれており、ベトナム国内のコメ生産量の50%以上を産出しています。カントーの主力産業も、やはりコメ生産です。カントー市内には20万ヘクタール以上の農地がありますが、そのほとんどが水田で、年間で100万トンを超えるコメを生産しています。

歴史・文化

カントーは元々クメール王国に属していました。17世紀末からキン族の入植によってベトナムの支配が進行していきました。1700年代前半には、ベトナムの地図に載っています。このように、カントーは元々クメール王国の一部だったので、今日も多くのクメール人が暮らしています。

カントーが中央直轄市に選ばれたのは2003年で、それ以降、周辺やハウザン省と区別されるようになりました。

カントー人の性格

カントーの人々は、大雑把に言ってしまえばベトナム南部らしい性格です。楽観的、大らか、感情に素直に生きる方が多い傾向があります。仲良くなれば最も本音で話せるでしょう。

カントー人の消費スタイル

大手コンサルティング会社であるデロイトの消費動向調査では、カントー市の回答者の84%が「より積極的に支出したい」と回答しました。前述のダナン市は68%、ハノイ市は18%ですので、カントー市の人々は買い物に積極的であると言えます。

市場経済の規模はハノイ・ホーチミン両市の方が大きいですが、カントー市の消費市場は今後特に成長が期待されています。

まとめ

ベトナムの国土は広く、地域ごとに歴史が違うため、文化や人の気質も異なります。さらに消費の仕方や消費量についても違いがあります。

ベトナム参入事業を考える際には、地域ごとの差異を理解した上で入念な市場調査が必要になります。そうすることで、ベトナムでの成長に一歩近づけます。

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