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不動産・建設

【2021年最新】ベトナムの不動産管理・ビルメンテナンス市場の成長見通し

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はじめに

ベトナムの不動産管理・ビルメンテナンス市場の成長が続いている。
ベトナム統計総局によれば、2020年におけるベトナムの不動産管理・ビルメンテナンス市場規模の成長率は2019年と比べて、プラス0.31%となった。ベトナムの不動産業界の安定的な成長に伴い、マンション、オフィスビル、モール等での不動産管理・ビルメンテナンスサービスの需要が拡大している。この記事では2021年の最新の動向と日本企業にとってのビジネスの機会を徹底的に解説する。

ベトナム不動産管理・ビルメンテナンスに関する法制度・外資規制

ベトナムでは一般的に不動産管理・ビルメンテナンスは、2つの業務に分類することができる。一つは、建物管理の日常業務である警備、清掃、設備メンテナンス等の業務である。 もう一つは、リスクマネジメント、中長期的な施設の改修計画, それに該当する予算計画、施設管理業務の計画・立案にあたる長期運用に関する業務である。

ベトナムの不動産管理・ビルメンテナンス市場は近年になってベトナムで登場したばかりのサービスである。ベトナムにおける不動産事業法(第75条)によれば、不動産管理・ビルメンテナンスサービス事業の内容は以下のように定められている。

  • 住宅,建物所有者,土地使用権者の委任に従った不動産の売却,譲渡,賃貸,転貸,購入賃貸
  • 不動産の穏当な活動維持の保証をするサービスの提供実施の組織
  • 不動産の維持,修繕実施の組織
  • 契約に正しく従った,顧客の不動産の開発,使用の管理,監察
  • 住宅,建物の所有者,土地使用権者の委任に従った,顧客,国家に対する権利及び義務の実施

また、ベトナムの不動産事業法及び投資法によれば、不動産管理・ビルメンテナンスサービスを含む不動産事業を行うためには、企業又は合作社(以下,企業と総称する)を設立しなければならないと定められている。

更に、共同住宅,目的混合住宅のサービスを提供する場合は,住宅に関する法令の規定を全て満たさなければならない。具体的にがベトナム住宅法によって以下の通りに規定されている。

  • 企業法によって設立する組織、不動産管理・ビルメンテナンス事業を営むことを許可
  • 企業において技術部門、設備及び清掃に関する専門な部門、環境管理の部門がある
  • 管理人材は専門的な証明書を有する
  • 建設省の住宅管理局の ホームページにて情報が掲載されている

現状、ベトナムの法律では、不動産管理・ビルメンテナンス事業において外資規制は定めていない。現在、ベトナムでは、日本企業をはじめ、優良な不動産管理・ビルメンテナンス事業を企業が多数存在している。

ベトナムの現地企業も市場に参加しているが、清掃、警備、電気・水道システムのメンテナンス、アパートの管理など、高度ではない単純な作業に留まっていることが殆どである。

一方、外国企業は統合的な高度なサービスを中心とし、管理と運用のための包括的なソリューションを提供していることが多い。 不動産管理・ビルメンテナンスは高級なマンション、建物、ビル、商業施設などに新しい付加価値をもたらしている。

ベトナムのビルメンテナンスについては以下の記事で詳しく紹介しています。

ベトナム不動産管理・ビルメンテナンスに関する市場規模と成長性

近年、ベトナムでは不動産市場が大きく成長を遂げている。コロナ発生以前である 2019年第1四半期においては、市場の成長率がピークの4.75%に達した。2020年はコロナ発生の影響で、2019年末から2020年半ばにかけてはマイナス成長で市場は落ち込んだ。しかし、2020年、第3四半期から急速に市場が回復し、2019年同期比で0.31%の成長率に達した。

また、2020年のベトナム不動産業界における外国投資(FDI)は30億ドルと推定されている。 2021年、ベトナムの不動産市場は引き続き回復を続けると予測され、不動産管理・ビルメンテナンス市場も成長する見通しである。

セグメント別分析:オフィスビル・サービスアパート

2020年はコロナの影響を大きく受けたが、ハノイやホーチミン市を中心とする大都市でのオフィス市場は2020年第3四半期から安定的に回復している。ハノイのグレードAオフィスは比較的高い稼働率が維持され、コロナ禍の期間中においても成長の余地が大きく残されている。 これには以下の2つの理由が主に挙げられる。

理由①:ベトナム市場の成長性

ベトナムは、安い人件費やマーケットの今後の成長性が高いことから、外国投資家にとっては有望な国とされている。2020年のベトナムの経済成長率は2.91%のプラス成長で、コロナ感染が拡大する中で、世界的にはトップクラスの成長率となった。

国際通貨基金(IMF)によれば、2021年のベトナムのGDP成長率は6.5%と予測されており、世界各国の平均成長率よりも高いと予測されている。

ベトナム計画投資省によれば、2020年の外国直接投資(FDI)の認可額は285.3億ドルと報道されている。これは2019年の外国直接投資認可額の75%に相当する。また、ホーチミン市への2020年における外国直接投資認可額は44億ドルで省別では1位となった。ハノイ市は、ホーチミン市とバクリュウ省に次ぐ3位で、認可額は37.2億ドルに達した。 ベトナムへ進出する新規企業の需要を満たすため、都市部における高品質のオフィス、利便性が高いサービス、良好なアクセス環境といった利点がある高品質のオフィスセグメントが発展していくと見込まれる。

理由②:新型コロナ発生によって生まれたニューノーマル

第二の理由としては、コロナ発生をきっかけに、迅速な予防対策、建物の安全確保、運用管理業務が以前にも増して重要であると認識されるようになった。高級オフィスビルで、包括的な管理システムを適用するため、コロナ禍の予防対策を迅速に対応することが可能となった。

将来的にベトナム大都市における中級・高級のオフィスビルに対して、不動産管理・ビルメンテナンスに関するサービスの需要が高まると予測される。したがって、投資家は質の高い不動産管理・ビルメンテナンスサービスをますます優先すると考えられる。これらのサービスは、顧客に新しい価値を生み出すだけでなく、運用コストをコントロールし、投資家の収益を最大化することに役立つ。更に、 コロナ禍の影響による新しい働き方に適合した柔軟なオフィスに対する企業の新たな需要を満たすサービスも期待できる。

セグメント別分析:住宅用マンション

2020年にかけてベトナムの人口は9,758万人に達し、2019年の人口増加率は1.15%であった。現在、ベトナムの人口構造は労働人口(15歳以上59歳以下)が従属人口の約2倍の「人口構造の黄金期」にある。15歳以上24歳以下の人口割合が70%に達しており、ベトナムの労働人口は5,460万人に上っている。

また、自然増減、農村から都市部への人口流入、政府の都市化化促進の政策等の理由で、ハノイ市やホーチミン市などの都市部の人口は引き続き大幅に増加している。ベトナムにおける都市部人口の割合は2014年の32.8%から2020年には36.8%に増加した。将来的に2030年までに45%に増加すると予想されている。それに伴い、都市部での住宅需要(マンションや低層ビル等)は常に高く、毎年7000万平米の都市住宅が増加すると推定されている。

ベトナム中間層の拡大に伴い、住宅に関する支出を含め、消費支出も増加している。都市部では、質の高い住宅への需要とともに、 古い住宅の改修ニーズが高まっている。

ベトナム建設省によれば、2020年には、手頃な価格帯の住宅マンションの新しい案件は多くなく、一方で中級・高級の住宅マンションのプロジェクトは引き続き増加している。 ホーチミン市とハノイ市では、多くの新しいプロジェクトが高品質な建物である。2020年には2大都市において高級マンションの供給量と取引量が上昇した。

近年、大都市では 「持続可能な住宅地建設プロジェクト」が注目されており、 持続可能な生活環境で便利な生活に興味を持つ人が増加する傾向が見られる。そのプロジェクトに対して不動産管理・ビルメンテナンスサービスが提供されることで、建物の安定的な運営の確保につながり、投資家と居住者をつなぐ役に立つことが期待される。

ベトナムの不動産については以下の記事で詳しく紹介しています。

ベトナム不動産管理・ビルメンテナンス市場の今後に見通し

結論として、不動産管理・ビルメンテナンスサービスは、大都市を中心にベトナムで今後大きく発展する可能性を秘めた分野と言える。ベトナムの不動産市場は依然として安定的に成長しており、都市部の人口割合と 中間層の拡大という2つの大きな成長要因がある。不動産市場において、高度な管理サービスがある建物、マンション、ビル、施設は非常に人気が高く、高品質な不動産管理・ビルメンテナンスサービスが必須となる。

外国投資家はベトナムに現地法人を設立すること、あるいは市場でベトナム企業の買収(M&A)を実施することによってベトナム市場に参入することができる。現地法人を設立する場合、法律で定められた事業者の条件を満たす必要がある。最近では、ベトナム企業の買収(M&A)を検討する傾向がより高まっている。M&Aにより、 ベトナム企業の既存の経営資源を活用し、短期間でサービス向上を実施するこができる。

この機会を活用してベトナムでの不動産管理・ビルメンテナンス事業の展開を検討することは良いタイミングであろう。

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