はじめに
ベトナムの医薬品小売市場は、2021年~2025年の売上高の年平均成長率が9.5%(EIUによる予測)を見込んでおり、アジアにおける有望な市場として発展が期待されている。
本レポートは、ベトナムの医薬品小売市場のポテンシャルを評価し、今後のベトナムの発展見通しを予測するための情報を提供するものである。
ベトナムにおける医薬品小売業の主要企業
ベトナムの医薬品の売上高は最近成長している。EIUのレポートによると、2017年から2021年の期間において、医薬品の売上高は年平均成長率7.5%であり、2021年には売上高が59億ドルに達した。医薬品小売業界の売上高拡大には、ベトナムにおけるドラッグストアチェーンの規模拡大が貢献している。Pharmacity社、Long Chau社、An Khang社のドラッグストアチェーンが現在の市場を支配している。2021年にこの3社のドラッグストアチェーンの店舗数は1,378店舗(現在の全店舗数の86%を占める)に達した。2022年6月の店舗数ではPharmacity社が1,118店舗でトップ、次いでLong Chau社が719店舗、An Khang社が523店舗となった。

ベトナム医薬品小売業における主要企業の売上高
ベトナムの3大ドラッグストアチェーンは、2021年の粗利率が21%を超え、平均月売上高が5億VND/店舗以上と非常に高い水準にある。平均月売上高が最も大きいのはLong Chau社で14億VND/店舗、次いでAn Khang社で7億VND/店舗、Pharmacity社で6億VND/店舗となった。

ベトナムの大手ドラッグストアチェーンは年々売上を伸ばしている。 Long Chau社の売上高は2019 年の5,110億ドンから2021年には3兆9,770億ドンに増加した(2019年∼2021年の年平均成長率98%に相当)。 Pharmacity社の売上高は、2019年の9,660億ドンから2021年の3兆6,180億ドンに増加した(2019年∼2021年の年平均成長率55%に相当)。

ベトナムの医薬品小売業のチャネル
本章では、ベトナムの医薬品小売市場を細分化して解説する。
伝統的な薬局と近代的なドラッグストアチェーン
ベトナムでは、近代的なドラッグストアチェーンが伝統的な薬局からシェアを奪うために、徐々に新規出店を加速させている。IQVIAによると、2016年のベトナムのドラッグストアの数は55,300店舗で、そのうち近代的なドラッグストアチェーンの数は185店舗、伝統的な薬局の数は55,115店であった。しかし、2021年にはドラッグストアの総数は44,600店に減少したが、近代的なドラッグストアチェーンの数は1,600店舗に増え、伝統的な薬局の数は43,000店に減少した。

医療用医薬品チャネル及び一般用医薬品チャネル
ベトナムでは、医療用医薬品チャネルと一般用医薬品チャネルの、2つの医薬品の販売チャネルがある。医療用医薬品チャネルは処方箋によって販売される医薬品を含み、病院での処方に特化したチャネルでもある。一方、一般用医薬品チャネルには処方箋がなく、販売時点で医師の指示のもとで使用される医薬品が含まれる。
ベトナムの医薬品販売に占める医療用医薬品チャネルの割合は、2018年の69%から2022年には76%に拡大し、一般用医薬品チャネルの割合は2018年の31%から2022年には24%に減少した。

商品のタイプ
ベトナムの3大ドラッグストアチェーンでは、商品タイプ別の売上割合が異なっている。Long Chau社とAn Khang社では医薬品と健康商品の売上が50%以上と大きな割合を占めているが、Pharmacity社では医薬品と健康商品の売上は27~40%程度にとどまっている。

ベトナムにおける医薬品小売業の展望
本章では、ベトナムの医薬品小売業の今後を考察していく。
売上高の継続的な増加
2017年~2021年の期間において、医薬品小売業の売上高は年平均成長率7.4%であった。今後5年間、医薬品小売業の売上高は年平均成長率9.5%と予想された(EIUのデータにより)。医薬品小売市場の成長要因は、以下の理由である:
- 中間層の拡大:World Data Labのデータによると、ベトナムでは中間層が増加しており、2030年にはさらに2,320万人(東南アジアで3番目)の中間層が誕生し、医療費のニーズが高まる。ハイエンド医薬品分野の消費も増えると予測される。
- 人口の増加: ベトナムの人口は増加し続けている。ベトナムの人口は2021年に9820万人に達し、2050年には1億960万人に増加すると予測されている。人口増加に伴い、今後も医薬品小売市場の拡大が期待される。

- 新型コロナウイルスの大流行: 新型コロナウイルスの大流行は、医薬品業界全体、特にドラッグストアチェーンなどの近代的なモデルの成長を加速させた。新型コロナウイルスの影響により人々の健康問題への意識が高まっており、医療費や医薬品への支出も増えている。
- 人口の高齢化: ベトナムは2017年から人口高齢化の時代に突入した。WorldBankによると、ベトナムの人口高齢化のプロセスは非常に短期間で行われ、2040年以前に完了する見込みである。65歳以上の人口は、2039年にはベトナムの総人口の15%を超えるとされる。高齢化に伴い、ヘルスケア製品や医薬品に対する需要も増加することが予想される。ベトナムの国民一人当たりの医薬品への支出は2020年に50ドルになると見込まれている。医薬品市場を目的別に見ると、心臓系(14.7%)、抗生物質(23.1%)、腫瘍(12.9%)、ミネラル・ビタミン・免疫(9.5%)、消化器系(7.5%)の順位でシェアが大きくなっている。疾病別では今後、循環器疾患、肝臓がん、糖尿病に関する医薬品の需要が高まるものと予想される。

近代的なドラッグストアチェーンの成長傾向
ベトナムでは近代的なドラッグストアチェーンが急増しており、今後、伝統的な薬局に徐々に取って代わると予測される。2016年、ベトナムの薬局総数に占める近代的なドラッグストアチェーンの割合はわずか1%であったが、2021年には4%に増加し、2025年には16%に増加すると予測される。

また、ベトナムの近代的なドラッグストアチェーン市場も活発で、近い将来、Wincommerce(Winmartを有し、約3,000店の小型スーパーマーケットを展開)、Viettel(約370店の通信小売ネットワークを所有)など、多くの企業がベトナムの医薬品小売市場に新規参入することが予想される。

出所: https://viettimes.vn/pharmacity-long-chau-an-khang-da-banh-truong-hau-covid-19-nhu-the-post160040.html
日本の医薬品は人気が高まっている
日本の医薬品や健康商品は、品質が良く高い効果も期待できることから、ベトナムで人気がある。今後、ベトナムにおける日本の医薬品や健康商品の需要は増加することが予想される。ベトナムで人気のある日本の医薬品にはサロンパス(久光製薬)、V Rohto(ロート製薬)、ナザールスプレー(佐藤製薬株式会社)、正露丸(大幸薬品)、パブロンゴールドA(大正製薬)などがある。

まとめ
2021年の市場規模は59億ドル、2021-2025年の予測年平均成長率は9.5%と成長を続けており、ベトナムは医薬品小売業界にとって魅力的な市場である。ベトナムにおける医薬品小売市場の今後の成長要因は、所得の急増、人口の高齢化、新型コロナウイルス大流行後の健康ニーズへの関心の高まりなどである。
さいごに
本レポートでは、ベトナムの医薬品小売市場の概要について述べました。
ONE-VALUEは、ベトナム市場に特化した経営コンサルティング企業です。日本の健康商品・医薬品のベトナム市場への販売を促進するための支援サービスを提供しており、市場調査や小売チャネルへの医薬品流通などの手続きも行っています。
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