はじめに
本レポートでは、Vietbizが紹介可能な、コールドチェーン分野の実際のM&A案件を紹介する。まずベトナムのコールドチェーン事情を簡単に振り返り、ページ後半で実際の案件を紹介していく。
ベトナムのコールドチェーン市場
東南アジア地域の他の国々と比べて、ベトナムのコールドチェーン市場は未成熟で、発展可能性を秘めている。
ベトナムのコールドチェーンの市場価値は、2019年に約1億6900万ドルに達した。水産加工と消費者需要の伸びにより、2025年には2億9500万ドルに達すると予測される。(Cushman &Wakefiel Report(2022年)による)
ベトナムのコールドチェーン市場は、主に以下の要因で成長する。
- 消費者の冷凍食品に対する需要の増加
- 新型コロナウイルス流行に起因するサプライチェーン混乱の抑制
- 政府からの支援:第3次港湾戦略の策定、各種物資の輸送ターミナルの整備、産業展望を向上させるための鉄道問題の解決
ベトナムとラオス、カンボジアなどの国々との二国間貿易は、この地域の主要な農産物加工と物流の中心地としてのベトナムの役割を後押ししている。
ベトナムのコールドチェーン設備の概況
Gosmartlogのレポート(2022年)によると、2021年9月時点で、ベトナムには48の冷蔵倉庫があり、総容量は60万パレット以上である。地域別に見ると以下のようになる。
- 南部:36ヶ所の冷蔵倉庫で526,364パレットの容量を持つ
- 北部:11ヶ所の冷蔵倉庫で54,780パレットの容量を持つ
- 中部::1ヶ所の冷蔵倉庫で21,000パレットの容量を持つ
南部は漁業や農業の発展が著しい地域であるため、他の地域よりも冷蔵倉庫の数が多い。
特にロンアン省は、ホーチミン市に近く、メコンデルタ(米の生産量が最大)と密接な関係にあるため、最も冷蔵倉庫に力を入れている。また、ロンアン省はカットライ港に近く、空港と直結することができる。
2021年、ベトナムの冷蔵倉庫の8割は高い稼働率(利用率)を上げた。輸送面では、700台以上の冷蔵車両と450両以上の冷蔵品コンテナを運ぶ列車を保有している。
ベトナムコールドチェーンの今後の展望
ベトナムにおけるコールドチェーン市場の今後の展望については、大きく2つのポイントが挙げられる。
- 税関総署によると、2021年12月現在、ベトナムの生鮮果物、肉、魚介類等の輸出入額は2020年同期比17.1%の伸びを記録した。また、ベトナムは世界5大青果輸出国の1つである。
高品質な商品に対する国内需要も急増している。食品の衛生・安全に対する要求が高まっていることから、企業は新しい冷蔵倉庫に資源を投入し始めている。 - 多くの外国企業も、ベトナムへの投資や冷蔵倉庫の建設にますます関心を示している。都市化の利点や近代化、強い成長を伴う大都市の小売業界の発展、高品質の冷蔵要件を持つ水産物の輸出国などの、多くの最適な要因があるからである。
M&A案件の紹介
本章では、実際にVietbizが紹介可能な案件の概要を紹介していく。プロジェクトオーナーについては、仮名を用いる。
A社のコールドチェーンプロジェクト➀
このコールドチェーンプロジェクトは、ベトナム南部の1つの主要都市に建設された。東南アジアの大規模で近代的な冷蔵倉庫の1つとして評価された。
基本情報
1 | 設立年 | 2003 年 9 月 |
2 | 場所 | ベトナム南部 |
3 | 分類 | 冷蔵 |
4 | 冷蔵温度 | -25~5℃ |
5 | 容量 | 60,000 パレット |
6 | 使用土地面積 | 2.8 ha |
7 | 地代 | 350 – 400 ドル/m2 |
8 | 土地利用期間 | 30年間以上 |
9 | 状況 | 稼働中 |
10 | 初期投資総額 | 5650万ドル |
11 | 売上高 | 170百万ドル |
12 | 契約締結までの予定期間 | 旧正月前 |
13 | 売却理由 | オーナーが財政難のため |
A社のコールドチェーンプロジェクト➁
ベトナム南部の大都市にある工業団地に属する土地で、国道や道路交通の軸線上に位置し、住宅地や学校、病院に隣接する戦略的な立地である。
基本情報
1 | 場所 | ベトナム南部 |
2 | 使用土地面積 | 4 ha |
3 | 土地利用期間 | 25年間 |
4 | 地代 | 250 – 260 ドル/m2 |
5 | 初期投資総額 | 約370万ドル |
6 | 売却理由 | オーナーが財政難のため |
B社のコールドチェーンプロジェクト
このプロジェクトは、物流業界の大企業が開発したもので、着工から1年以内に完成する予定である。現在は、適切な場所と潜在的なパートナーを探している。
基本情報
1 | 完成までの期間(予想) | 1年間 |
2 | 総投資資本(予想) | 約1,300万ドル |
3 | 希望建設場所 | ベトナム南部の工業地帯 |
4 | 状況 | 計画中 |
5 | 容量 | 10,000パレット |
6 | 温度 | 最低-22℃ |
7 | 面積(予想) | 5,000 m2から |
8 | 出資比率 | 少なくとも 50% |
9 | 冷蔵製品(予想) | アイスクリーム、野菜、肉、魚介類の加工品、ナッツ類、牛乳・乳製品、健康食品、等々 |
10 | 建設理由 | ベトナムでの事業拡大として、2022年に60,000パレットの冷蔵倉庫を建設予定である。これまで、投資家は50,000パレットの冷蔵倉庫の建設に着手しており、残りの10,000パレットを投資するための好立地を探している。 |
C社のコールドチェーンプロジェクト
WINDグループは、ベトナム北部の2つの省において、パートナー企業の土地に冷蔵倉庫を建設する計画を進めている。ベトナム国内およびベトナム・中国間の農産物の集荷・流通を目的としている。
基本情報
1 | 総投資資本(予想) | 2兆VND |
2 | 希望建設場所 | 北ベトナムの2大省 |
3 | 状況 | 計画中 |
4 | 容量 | 計画中 |
5 | 温度 | 計画中 |
6 | 面積(予想) | 10,000m2-20,000m2 |
7 | 出資比率 | 過半数または最大 100% |
8 | 冷蔵製品(予想) | 冷蔵が必要なもの |
9 | 投資家の期待 | ・ベトナム側がオペレーターとなり、冷蔵倉庫の事業と管理を担当する ・外国人投資家は十分な資金力があればよい |
さいごに
本レポートでは、Vietbizが実際に紹介可能なベトナムコールドチェーン分野の案件を4つ紹介しました。
もし興味があり詳細を希望される場合は、下記のボタンから、このVietbizを運営するONE-VALUE株式会社までお問い合わせ頂けますと幸いです。
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