はじめに
ベトナムは国土の75%が山地であり、森林面積が大きい国として知られている。豊かな森林資源を有するベトナムは森林関連の経済的なポテンシャルだけではなく、今後のカーボンプライシングにおける排出権取引においてもポテンシャルが高いと期待されている。また、再生可能エネルギーの発達もベトナムのカーボンプライシング推進を後押しする要素である。
ベトナム専門の調査会社である弊社ONE-VALUEは、ベトナムにおけるカーボンプライシング、また炭素クレジット取引の現状、動向等にフォーカスして、積極的に研究等を進めている。
本レポートではONE-VALUEが、ベトナム最大手の林業会社である「ベトナム林業総公社」(以下:VINAFOR)にインタビューした内容をもとにし、ベトナムにおける炭素クレジット取引市場(排出権取引)のポテンシャル、および最新のカーボンプライシングの動向を考察する。
ベトナムのカーボンプライシングのポテンシャル
ベトナムは豊かな森林を有する国である。2020年12月31日時点の最新の統計データによると、ベトナム全国の森林面積は14,677,215 ヘクタールであり、森林被覆率(森林率)は約42.01%となっている。そのうち、天然森林の面積が10,279,185ヘクタールと70%を占め、人工林は4,398,030ヘクタールで残りの30%を占めている。
天然森林は2016年の首相指示により伐採禁止となり、木材原料調達を目的とする天然森林伐採が規制されている。そのため、今後天然森林は最も多くのCO2クレジットを生み出せると推測されている。
天然森林は限られた資源であるため、長期的には人工林から生み出した炭素クレジットのポテンシャルも高いという見方もある。したがって、林業は長期的に多くの炭素クレジットを生み出す可能性がある。
ベトナム政府が発表した「2021年~2030年(2050年までのビジョン)ベトナム林業開発戦略」によると、ベトナム政府は2030年までに天然森林の面積を維持しながら、森林被覆率を43%に拡大することと、2030年までに森林の栽培面積を平均34万ヘクタール/年のペースで拡大することを目指している。したがって、今後ベトナムでの森林面積は拡大され、炭素クレジットの恩恵をより多くもたらすと予想される。
ONE-VALUEは、バイオマスエネルギーの分野に注力し、ベトナム市場でカーボンプライシングを促進するベトナム最大の植林地を所有する企業であるVINAFORとのインタビューを実施した。我々は、天然林と人工林ともに炭素クレジットが販売される可能性は非常に高いと判断した。
現在、ベトナムの企業だけではなく世界中の企業が、炭素クレジットの価格評価を監視している。ベトナム政府は、炭素クレジットの価値評価の標準や取引メカニズム構築も積極的に推進している。ベトナムの大手企業は、ベトナム市場で炭素クレジットを取引するための基準や実験について、各政府機関と積極的に協力している。今後1〜2年以内に、ベトナム政府は国内企業間の炭素クレジット取引基準とメカニズムを発表すると予測される。
ベトナムの専門家によると、炭素クレジットの価値評価と取引は、林業全体と今後の植林事業にとって非常に重要である。特に、炭素クレジットの取引は、企業や植林業者が植林事業の長期的な方針を見直すようにして、木材の品質や価値を向上させ、林業の生産性を高めていくとみられる。
現在、ONE-VALUE はベトナム市場における炭素価格に関する研究・調査活動をリードして、すでに広大な植林地を持つ林業分野の企業とのネットワークがある。これらの企業は炭素クレジットの取引を積極的に推進している。日本企業がベトナムでの炭素クレジット取引に興味をお持ちの場合は、ONE-VALUE(contact@onevalue.jp )までご連絡ください。
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