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環境・再生可能エネルギー

今後のベトナム電源開発計画(PDP8承認)見通しと日本企業が今やるべきこと

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PDP8の承認の見通し

2021年2月にベトナム商工省が公表した第8次国家電力マスタープラン(PDP8)の草案であるが、4月にベトナム政府の新政権が発足されたことで、現在まで首相による正式な承認はされてない。以前の商工省大臣がPDP8草案を提出した訳であるが、新政権では新しい商工省大臣としてNguyen Hong Dien氏が就任した。Dien氏はThai Binh省出身で、過去(2011年~2020年)にはThai Binh人民委員主席を務めていた人物である。Dien氏は電力に関する深い専門知識がないと推測され、今後の第8次国家電力マスタープランの検討には時間がかかると思われる。当初は2021年3月に公布される予定であったPDP8であるが、現時点では承認期間はが3か月程度遅れてしまう可能性が現地メディアでも指摘されている。そのため、PDP8の正式な承認は早くとも6月末になると思われる。

ベトナムにおける再エネ開発の見通し

今後の電源開発

PDP8草案では、再エネ開発に積極的な政府の方針が現れた形であるが、同時並行的に石炭火力発電も継続する方針も明らかになった。電力需要が年率10%程度で成長してきたベトナムでは、そもそも電力が不足しているという事情があり、大型の石炭火力発電に頼らざるを得ない事情が透けて見える。

PDP8ドラフトによれば、2030年の電源容量は1億3,720万KWで、各電源の比率は石炭火力:27%、ガス火力:21%、水力:18%、再生可能エネルギー:29%、輸入:4%、揚水発電・蓄電設備:1%となっている。また、2045年の総出力は2億7,670万KWで、比率は石炭火力:18%、ガス火力:24%、水力:9%、再生可能エネルギー:44%、輸入:2%、揚水発電・蓄電設備:3%と計画されている。

全体的にPDP8ドラフトは水力を除く再生可能エネルギーの発展を奨励している。2020年の13%から2030年に29%、2045年に44%への引き上げは、世界の発展がする方向に見合った趨勢だ政府は認識しているようである。また、電源開発に必要な総投資額は、2021~2030年が1,283億米ドル(約13兆5,000億円)、31~45年が1,923億米ドルと見積もっている

今後の送電線開発

今後の送電線・変電所の開発方針についてもPDP8に記載されている。電力不足が深刻である南部、及び中部は今後COD予定の再エネ(風力等)が多いため、送電線・変電所の開発が計画されている。北部においては、中国から電力を輸入している状況であるため、将来的には国内中部周辺の再エネ電源から電力を賄う方針。そのための送電線・変電所の開発が計画されている。

日本企業がやるべきこと

現在、PDP8承認が2021年6月以降にずれ込む見込みから、新規の電源開発プロジェクトのマスタープラン追加承認も遅れている状況である。太陽光発電については2020年末にFIT制度が期限を迎え、現在は入札制度への移行、屋根置きについてはFIT3への改定などが政府内で議論されているが、正式な政府からの公表はまだない。また、DPPA制度の整備も進んでいる。サムスングループはベトナム電力公社(EVN)ではなく、再エネ事業者と直接電力購入契約を締結することを商工省に要望している。商工省はDPPA制度導入にあたり、2021年から2023年にかけて国内の案件最大1,000MWを対象にパイロットプロジェクトを実施するとしているが、これについても具体的に始まってはいない。

今後、特に注目される再エネ開発はバイオマス発電と考えられる。日本でもバイオマス発電が開発されるなか、燃料不足の原因からベトナム産木質ペレットの輸入が急増しているのは既に周知の通りである。ベトナムは農業、林業が盛んな国であり、バイオマス燃料の資源が豊富に存在する国である。これまでは、韓国や日本向けの木質ペレット製造が盛んであったが、今後は国内でのバイオマス発電の動きが拡大するだろう。昨年はバイオマス発電のFIT価格が引き上げになり、優遇措置も明確になっている。バイオマス発電事業への投資にあたっては、開発地・燃料の選定、バイオマス燃料の長期的かつ安定的な調達が重要なポイントになると考えられる。

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