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ベトナムの娯楽・エンターテイメント市場を徹底解説│動向と将来予測

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はじめに
この記事で伝えたいこと
  • ベトナムは消費市場として有望である。生活に必要な分野だけでなく、余暇を充実させるための娯楽・エンターテイメント産業も成長しつつある
  • ベトナムは新興国であるが、ベトナム人のライフスタイルはどんどん現代的になっている
  • ベトナムの娯楽・エンターテイメント産業は総じて有望だが発展途上なので、日本企業の参入余地が十分ある

はじめに

ベトナムは近年、人口増と経済発展によって消費市場としての注目が高まっている。身近なところでは、例えば先進国からスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア、ショッピングモールの事業者が次々と参入し、現在では店舗数をベトナム国内で大きく増加させている。伝統的な市場で買い物をするベトナム人は減少傾向にあり、先進国のような現代的なライフスタイルを志向するベトナム人が都市部の居住者や若年層を中心に増加している。

本レポートでは、ベトナムの娯楽産業・エンターテイメント産業について解説・考察する。また、娯楽要素やエンタメ要素が含まれる他の産業についても、ベトナム人の現代的なライフスタイルを読み解くという観点から、併せて取り扱う。具体的にはフィットネス、ビール、ショッピング(現代的な小売形態)、飲食、スマホ、化粧品などである。

ベトナムの映画館市場

ベトナム映画局の調査によると、現在、ベトナム全国には国家資本の配給事業所が5社、外国資本の事業所が7社あり、映画の普及・配給活動をしている。映画配給会社や映画館の数は急速に増加傾向にある。

劇場用映画市場においては、外国映画が圧倒的なシェアを占めている。その中で、アメリカ映画が最も人気があり、49%を占めている。次いで、中国映画が9%、韓国映画が6%、日本映画が5%である。ベトナム映画は19%に過ぎない。

具体的に、2020年のベトナム映画の数は36本で、外国映画は175本であった。ベトナム映画の上映回数は全体の28.09%に留まった(映画館での総上映回数1,028,812回のうち、289,038)。

ベトナム現地の映画館GALAXY CINEMA(出所)現地メディアVIET VISION TRAVEL

映画に関するベトナム人の行動の特徴

ベトナムの13歳から39歳までの788人を対象に行った調査によると、約84%の人が「映画を観に行ったことがある」と回答している。その中で、57%が月に1回以上行き、友人と行くことが多いとのことである。(QandMe)

消費者が映画館映画を観るかどうかを決める要因は以下の通りである

  • 自宅の近くに映画館がある
  • 映画館がきれいであること
  • リーズナブルな価格
  • 快適な座席
  • 高音質

ベトナムでは現金での支払いがまだまだ人気で、約64%を占めている。残りはオンラインでチケットを購入し、アプリやクレジットカード、銀行支払いを利用している。

ベトナムで人気の映画ジャンルについては、アクション、スーパーヒーロー系とコメディ系が上位を占める。

ベトナム人は映画館によく行く(出所)現地メディアtuoitrenews

市場規模 

統計によると、ベトナムの映画館の市場シェアは、主に外資系企業が占める。CGV社が43%、Lotte社が約30%、Platinum社が10%のシェアを占める。ベトナムの民間企業2社もこの市場に参入しており、ギャラクシー社は9%、BHD社は6%である。ベトナム国営の映画館はわずか2%である。

具体的な売上規模では、市場トップのCGV社の2016年から2019年の売上は2兆1400億ドンから3兆6960億ドンとなっており、72.7%増の急激な増加である。しかし、新型コロナ流行の影響により、2020年のCGVの売上は1兆4160億ドンとなり、2019年と比較して61.7%減少した。

また、Lotte社の映画事業の売上は2016年から2019年で7263億ドンから9200億ドンに増加し、26.6%に相当した。しかし、2020年の売上は2019年比50.9%減の4513億ドンと急減している。

ベトナムのモバイルゲーム市場

東南アジアの中でも、ベトナムはゲーム大国と言われている。本レポートでは、ベトナムで特に注目されているモバイルゲーム市場について解説する。

ベトナムは現在、モバイルゲームのダウンロード数で世界第7位、東南アジアでは第2位である。

ベトナムではゲームが盛ん(出所)現地メディアVN EXPRESS

ゲームに関するベトナム人の行動の特徴

モバイルゲームを利用するベトナム人の行動の特徴は、主に以下のことが挙げられる。(Marketing AI)

  • 34歳以下のインターネットユーザーが最も多く、男女比は均衡している。特に、若年層(16~24歳)はモバイルゲームが非常に好む。
  • モバイルゲームの1回のプレイ時間は、男性(56分)が女性(45分)より長い。ミレニアル世代は、1回のゲームプレイに平均48分を費やす。
  • ゲームをプレイする頻度は、男性は主に1日に数回、女性は1週間に数回である。
  • ベトナム人の72%がモバイル端末で、4%がタブレット端末、23%が両方の端末でモバイルゲームをプレイしている。
  • ベトナム人が自宅でゲームをする時間帯は、男性は夜(19時~22時)、女性は昼(12時~14時)が多い。その中で、最も人気のあるゲームジャンルは:ストラテジー、パズル、アクションである。
  • ゲーム内での広告、特に動画広告の視聴に対し報酬を与える手法は有効である。
E sportsとしても人気(出所)現地メディア vietnam insider

市場規模

2021年、ベトナムのゲーム産業の市場規模は6億6000万米ドル(約850億円)と推定されている。(ベトナム情報通信省)

これは2020年に比べて30%増であるが、これのほとんどは外資系企業のゲーム(主に中国、韓国)に由来で、約85%を占めている。

ベトナムのフィットネス市場

ベトナムのフィットネス(健康の維持・増進を目指して行う運動)市場が成長したのはごく最近のことである。それまでは、ベトナムのヘルスケア・スポーツ・フィットネス市場は非常に小さく、小さな事業者が散在していた。当時のフィットネスジムといえば、古い初歩的なトレーニング器具のある狭いスペースが連想される。スタッフも利用者の助けになることはあまりなかった。

2007年に誕生した高級フィットネスジムブランド「California Fitness & Yoga」の成長をきっかけに、ベトナムのフィットネスジム市場には様々な価格帯のブランドが登場し、発展してきた。

現在のベトナムでは、City Gym、Unifit、Body Fit、25 Fit、Jetts Fitnessなど多くのブランドが登場し、ベトナムのフィットネスジム市場は比較的充実していると言える。具体的には、代表的なハイエンド層のブランドとしては、California Fitness & Yoga、City Gymなどが挙げられる。ミドルエンド層は、Uni Fit、Body Fit、25 Fit、Fit Center、Jetts Fitnessなどが挙げられる。

ベトナムには既に様々なジムがある(出所)現地メディア than nien

フィットネスに関するベトナム人の行動の特徴

ベトナム人の健康意識は東南アジアでトップクラスに高いと言える。

Nielsenが実施した2015-2016年消費者動向調査において、「健康の維持は課題であり、誰にとっても最も重要なことだ」と答えた人は、ベトナムは30%、タイは21%、シンガポールは18%、タイは6.5%、シンガポールは4.9%であり、東南アジアトップであることが判明した。

また、ベトナムのGDPの7.1%が医療投資に費やされているとされている。

13歳から65歳までのベトナム人1,406名を対象に行った調査によると、85%の人がフィットネスを行っている。その中で、女性がフィットネスを実践している割合は約94%である。(QandMe)

また、ベトナムでは以下のようなフィットネス・スポーツが人気で、定期的に行っているベトナム人は多い。

  • 一般的な有酸素運動:ウォーキング、ランニング、サイクリング
  • 球技等:サッカー、バドミントン、バレーボール
  • 武道:テコンドー、空手、ボクシング

最も一般的なフィットネスの目的は以下の通りである:

  • 「骨の強化」が全体の約48%を占める
  • 「ストレス解消」が全体の約43%を占める
  • 「体重の減少」が全体の約40%を占める

場所については、ベトナム人は公共の場でのエクササイズを好み、全体の約46%を占める。次に、「近所のジム」が全体の約33%を占める。

ベトナム人が運動の場所を決める基準として、 「快適な雰囲気」、「自宅から近い」、「時間の融通が利く」、「手頃な価格」が大きなウェイトを占める。

また、ベトナム人は運動やフィットネスに関する動画を見る習慣がある。人気のコンテンツは、「毎日のエクササイズ」、「体の部位ごとのエクササイズ」、「健康的な食事」である。

定期的に運動をするベトナム人は多い(出所)現地メディア webthethao

市場規模

ベトナムのフィットネスジム市場は、2020年まで年平均20%の成長率で推移し、市場規模は約1億1300万米ドルに達していると予測されている。(Statistics)

しかし、市場シェアの大半はハイエンドブランドが占め、手頃な価格のジムは規模が大きくても多くのシェアを獲得できていない。

ベトナムにおける旅行市場

ベトナムは東南アジアの中で比較的早く新型コロナの流行後に旅行を再開した国の一つであるが、この地域の他の国々と比べて観光復興率が最も低い国である。

2022年末頃の時点で、ベトナムの観光復旧率は18.1%に過ぎないが、シンガポール、マレーシア、カンボジアなどの近隣諸国は26~31%に達している。(2022年12月20日のVisaGuide.World)

ベトナムは3月15日から水際対策を緩和し、同時に新型コロナ予防に関連した渡航制限を解除したが、ベトナムの外国人訪問者は新型コロナ流行前の1,800万人に比べ、2022年11月時点で2,95万人に留まった。2022年のベトナムの旅行市場は、あまり世界的な制限緩和の恩恵を受けることはできなかったといえる。

ベトナムの旅行業は回復途上(出所)現地メディア transviet

旅行に関するベトナム人の行動の特徴

ベトナム観光開発研究所(ITDR)が発表した「新たな文脈における国内観光市場の促進」に関する調査結果と共に、2022年(2022年1月7日~9日)のベトナム人観光客を対象にしたいくつかの調査結果を見ると、パッケージではない旅行を選ぶ人が79.12%を占めている。

また、旅行中の乗り物の利用については、自家用車を選択する割合が56.2%、飛行機が57.43%となっている。この傾向から、ベトナム人観光客は、少人数での旅行、より遠くへの旅行、より長い期間の旅行を積極的に行うようになってきていることが考えられる。

ベトナムの国内観光客は、旅行会社のアドバイスだけでなく、様々な情報源から観光情報を積極的に求めるようになっている。ベトナムITDRの調査によると、国内観光客の意思決定において、口コミや個人の体験が大きな影響を与えていることが分かる。具体的には、79.3%が友人や親戚に相談したと答え、58.3%がSNSを通じて、40.9%がネットニュースや電子版新聞を通じて、25.2%がネット検索などを利用したと答えている。この調査によると、旅行代理店を通じて情報を求めるのはわずか1%となっている。

観光名所であるベトナム・ニンビン省(出所)旅行サイト klook

市場規模 

2021年12月のベトナム国内観光客数は500万人以上に達し、11月(250万人)の2倍、10月(75万人)の6倍以上になると推定される。国内観光客は、全国の多くの観光地で、特に週末と旧正月に急増する。旧正月の9日間、カインホア、ダラット、フーコック、ラオカイなどの各地域は610万人の国内観光客を受け入れた。

ベトナム国家観光局の統計によると、国際観光客誘致のパイロットプログラム実施以来(2021年11月から2月8日まで)、ベトナムは8900人以上の国際観光客を迎えている。

Google Destination Insightsの分析を行うと、2022年に入ってからベトナム観光の検索数が世界的に急増していることが分かる。検索ボリュームは2021年12月から徐々に増加し、2021年12月末、2022年1月上旬から急激に増加した。2022年1月1日の検索ボリュームは前月比222%増、2021年同期比では248%増となった。

ベトナムの音楽配信(音楽ストリーミング)市場

ベトナムの音楽配信市場はまだ黎明期であると言える。My Tam、Son Tung MTP、Dam Vinh Hung、Le Quyenなどのベトナム人の人気歌手が音楽配信サービスで音楽配信を始め、2021年には非常に良い結果を残したと言われている。しかし、ベトナムの音楽配信市場は著作権侵害の対策という大きな課題を抱えている。

日本では違法音楽配信アプリである「MUSIC FM」等の流行が社会問題となっているが、ベトナムでも音楽配信の著作権侵害が横行しており、日本もベトナムも音楽配信市場については同様の課題を抱えている現状である。しかし、どちらかといえばベトナムの方があらゆる分野で法整備が未熟な場合が多いため、音楽配信においても日本より問題の根は深いとも考えられる。

法整備の促進だけでなく、インターネット上の知的財産を保護する技術の開発と応用などが、ベトナムの音楽配信市場を発展させる必須条件となる。

ベトナムの音楽配信サービスは日本と同様の課題を抱える(出所)現地メディア tinhte

音楽配信に関するベトナム人の行動の特徴

18歳から44歳までのベトナム人1500人を対象に行った調査によると、約75%のベトナム人が毎日音楽を聴いている。その中でも、1時間未満音楽を聴く人が80%、1時間以上聴く人は調査全体の約20%である。(QandMe)

ベトナム人がよく聞く音楽は、アーティストの国別では1位がベトナム、2位がアメリカ、3位が韓国であった。

ジャンル別では、1位が「ポップス」で44%、2位が「ダンス・EDM」で33%、3位が「ヒップホップ・ラップ」で29%である。

また、ベトナム人は、ネットサーフィン中や仕事中、家事をしながら音楽を聴くことが多い。

ベトナム人が音楽を聴くのに利用するプラットフォームは、主にYouTubeとZingである。

音楽を聴くソースを選ぶ決定的な要因は「音質」で、調査回答者全体の70%を占める。2位はそのプラットフォームで聴ける音楽の多さで約56%を占める。 

ベトナム人は音質重視(出所)webメディア the conversation

市場規模 

現状のベトナムの音楽配信市場の売上は、2022年には2074万米ドルに達したと予測される。さらに、年間成長率(CAGR 2022-2027)5.62%を示し、2027年には2726万米ドルの市場規模になると予測される。

ベトナムがインターネット上の著作権をうまく管理することが出来れば、年間数千億ドンの音楽配信市場が出来るとされている。

ベトナムにおけるペット市場

ベトナムのペット市場は非常に新しい市場である。ペットの健康管理や飼い方に関する消費者の意識レベルが非常に低いことが、ベトナムのペット市場にとっての課題となる。このような現状にもかかわらず、ベトナムはペットに関する規制が緩く、大手企業にとって大きな影響力を持つ市場として新たに誘致された。ベトナム国産ブランドの存在感が薄いため、外資系ブランド、特に中価格帯のブランドがベトナムのペット市場で特に成長すると予想される。

ペットケアサービスの需要も急増している(出所)現地メディア VIR

ペットに関するベトナム人の行動の特徴

統計によると、ベトナムのペットの飼育数は大都市を中心に毎年15〜20%増加している。最近のベトナムでは若者の晩婚化が進んでおり、ストレスの多い労働時間の後の癒しとしてペット(犬や猫)を飼うことを決めるケースが多い。

ベトナムの全国3,000人を対象にした無作為抽出調査によると、現在も最も人気のあるペットは犬で、76.9%の人が家庭用ペットとして犬を選んでいる。次いで、猫、鳥類、魚類の順となる。日本では猫の方が犬よりもやや飼育数が多いが、ベトナムでは犬の方が人気だと考えられる。

ペットを飼おうと思ったきっかけについては、犬を飼っている人の50%が「帰宅時にリラックスでき、仕事帰りのストレスが軽減されるから」と回答した。また、ペットを親しい友人、家族の一員と考える人も多い。

現在ペットを飼っているベトナム人の52.7%が、犬や猫の食事に残飯を使用している。古い考えによるものであり、またコスト削減のためでもある。缶詰は13%、調理済みは28.9%に留まっている。

首輪や洋服など、ペット用品も需要が高まりつつある。

食事やペット用品のほか、健康管理も多くの飼い主が関心を持つ要素である。動物病院を探し、選択する際によく考慮されるのは、医師の評判、リーズナブルな費用、利便性の高い立地などである。

ベトナムでは犬派が優勢か(出所)現地メディア VN EXPRESS

市場規模 

東南アジアのペットケア産業の売上は40億USDである。その中でベトナムは13%にあたる5億米ドルを占め、年率11%の成長が予測されている。(Pet Fair Asia)

ベトナムにおけるビール市場

ベトナム統計総局によると、ベトナムの2022年1~5月の国内ビール生産量の累計は20億3000万リットルに達し、前年同期比で約19%、新型コロナ流行前の2019年同期比で約6%の増加となった。

ベトナムの定番・サイゴンビール(出所)現地メディア VN EXPRESS

ビールに関するベトナム人の行動の特徴

18歳から49歳までの504名を対象に行った調査によると、調査対象者全体の約75%がビールを飲んだことがある。そのうち、週に1回以上飲む人は約20%であった。(QandMe)

ビールのブランドについて、ベトナム人はHeineken、Tiger、Saigonの3種類を特に好む。

ベトナム人はビールをよく飲む (出所)現地メディア VN EXPRESS

市場規模

近年のベトナムのビール市場は、Sabeco、Heineken、Carlsberg、Habecoの4社が特に大きなシェアを占めている。各社は地域ごとに主な市場が異なる。

具体的に、Sabecoは南部、Habecoは北部、Carlsbergはフエに醸造所があるため中部を主な市場としている。一方、Heinekenはベトナム参入当初は高級路線で南部市場を支配していたが、現在はベトナム全土の大都市を中心に全省に流通網を広げている。

推計によると上記4社でベトナム国内のビール消費量の94.4%を占める。

ベトナムのビールについては以下の記事で紹介しています。

ベトナムにおける現代的なショッピング(小売)市場

ベトナムにおけるECやSNS上での商取引の急激な増加は、ベトナムの若者が利便性をますます重要視していることを表している。15~19歳の52%、20~24歳の70%、25~30歳の83%がECを利用している。

ベトナムではECが発達 (出所)webメディア tripzilla

ショッピングに関するベトナム人の行動の特徴

ベトナムの若者の間で人気のある買い物の場所や方法は以下のとおりである。

  • コンビニ:コンビニは、品揃えが豊富で、地域の人口カバー率が高く、便利なため、若者がよく利用する場所であり、忙しい生活の中で時間を節約することに役立つ。
  • 安価な小売店:Miniso、Daiso、Mumuso、Minigood、Usupsoなどの店舗は、若者にとって有名な店であり、欲しいものを手頃な価格で見つけるのに役立つ。
  • ハンドキャリーサービスのマーケットシェア:26%。ハンドキャリーサービスは、高級品や海外の商品を購入する際に利用されがちである。
ベトナムでは現代的な小売形態が浸透している(出所)現地メディア vietucnews

ベトナムのECについては以下の記事で紹介しています。

ベトナムのマッチングアプリ市場

ベトナムで最も人気のあるマッチングアプリはTinderである。次点でZalo、Telegramといったメッセージングアプリが利用されている。

ベトナムでもTinderは若者に人気 (出所)現地メディア VN EXPRESS

マッチングアプリに関するベトナム人の行動の特徴

ベトナム人1012人を対象にした調査では、65%が少なくとも1つのマッチングアプリを利用している。その中で、最も人気のあるデートアプリはTinder(21%)、2位がZalo、Telegramなどのメッセージングアプリ(19%)、3位がFacebook Dating(17%)となる。(Decision Lab 2022年2月)

ベトナムでもTinderはマッチングアプリとして高い人気を集めている。Tinderはベトナムのミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)と都市部のユーザーに人気がある。メッセージングアプリはX世代(1965年~1980年生まれ)とベビーブーマー(1946年~1964年生まれ)に人気がある。

意外な結果としては、マッチングアプリは新しい友人を作るために使われることが多く(48%)、パートナーを見つけるためではない(39%)ということだ。他の目的では、長期的な関係を見つける(35%)、関係ネットワークの確立(34%)、興味ベースの友人(24%)があり、一夜限りの関係(15%)などは低い結果が示された。

ベトナム人のデート系アプリの利用頻度は、30%近くが毎日、19%が2~3回/週、15%が6~7回/週など、全体的に高い。

マッチングアプリを利用する際、Z世代(1997~2012年生まれ)はX世代やY世代よりもマッチング自体に費やす時間が長い。ベトナムでは、1週間が初デート前の平均的なチャット期間となっている。ベトナムではデートについて、昔から男性が全額を出すべきという価値観が支配的であるが、若者を中心に近年のベトナムでは少しずつ割り勘文化が浸透している。

ベトナムのマッチングアプリ文化は日本と異なる (出所)現地メディア vietcetera 

市場規模 

ベトナムのマッチングアプリ市場は成長可能性が高いとされている。2021年10月には、ベトナムのマッチングアプリ「Fika」が160万ドルを調達した。Tech in Asiaによると、Fikaは2020年に設立され、女性がオンラインで出会う際の体験を向上させることに重点を置いている。登録後、すべてのユーザーが本人かどうかの確認チェックを受けなければならないが、このステップで登録者の40%がパスできないという厳しい審査を設けている。Fikaは今回の資本金を、ベトナムでの組織拡大、AI改善、ユーザーベース開発への投資に充てる予定である。

ベトナムの恋愛事情については以下の記事で紹介しています。

ベトナムの外食市場

ベトナムでは、道端にある屋台料理が今でも幅広い世代に愛されている。その他にも、タピオカ、スナック菓子、フードデリバリー、国産コーヒーブランド、カフェ、スペシャルティコーヒー、クラフトビールクラブなど、さまざまなタイプのレストランがベトナムの若い世代の間で新しいトレンドになっている。

ベトナムの食事の選択肢は多い (出所)現地メディア vietcetera

外食に関するベトナム人の行動の特徴

ベトナムの15~19歳の若者では、「ジャンクフード」「屋台料理」「タピオカ」が人気の上位を占めている。平日の朝はジャンクフード、屋台料理、スペシャルティコーヒーが多い。お昼の時間帯はフードデリバリーがよく利用されており、短い昼休みを有効活用するためと思われる。タピオカは午後から夕方にかけて、屋台は午後に最も多く利用されている。週末の夕方以降が、最も飲食店が混雑する時間帯である。

20~24歳の学生や社会人の若者は、平日も週末もデリバリーサービスを利用し、タピオカを飲むことが多い。彼らのナイトライフも、バラエティに富んだ路面の飲食店によって満たされている。また、朝と昼はジャンクフードの人気が高い。昼は多くの若者がフードデリバリーを利用する一方、夜は路面の飲食店が特に人気である。15〜19歳の層と比較すると、20〜24歳の層の方がフードデリバリーをより利用し、好む食事もより多彩な傾向にある。また、夜食をとることも多く、特に週末の夜に多い。20〜24歳の層は、夜間に営業する路面店の潜在顧客層と見込める。

25〜30歳層もまた、軽食やデリバリーサービスをよく用いる。その他、近場のカフェを開拓したり、インスタ映えする写真を撮ってくれるカフェを好んだりする。

年齢やライフスタイルによって食生活は異なる (出所)現地メディア hvgtravel

市場規模 

ベトナムの食品・飲料事業(F&B)は近年、力強い成長を遂げている。

ベトナムには現在約54万軒の飲食店舗があり、そのうち3万4128軒が中規模店舗、7万3872軒が大規模な店舗である。(D’Corp)

ベトナムの外食については以下の記事で紹介しています。

ベトナムのスマホ市場

ベトナムにおけるスマホ等の電子機器の消費習慣や消費水準は、新型コロナ流行の影響を受けているものの、依然として多くの明るい兆しを見せている。ベトナムのスマートフォンの販売台数は、2021年は1680万台に達し、2020年の1570万台の販売台数と比較してわずかに増加した。

ベトナムのスマホ普及率は世界でも高い水準 (出所)現地メディア thanh nien

スマホに関するベトナム人の行動の特徴

ベトナムでは、販売される携帯電話の最大8割がスマートフォンであり、ガラケーはあまり見られない。2020年時点では、販売された携帯電話のうちスマートフォンは71%程度であった。

スマホに対するベトナム人の平均支出額も年々増加傾向にある。2017年時点では、ベトナム人はスマートフォンを購入するために平均580万ドンを費やしていたが、2021年には670万ドンに増加している。

また、ベトナム人は比較的新しいもの、高性能なものへ買い替える志向が強い。5Gや大容量メモリなどにも関心が高く、加えてベトナムではより高いRAMを搭載したスマートフォンの需要が増加している。

ベトナム人は比較的新品に買い替える志向が強い (出所)現地メディア counterpoint

市場規模 

ベトナムのエレクトロニクス産業は、2022年は9%の成長が予測されている。ICT産業は8.2%成長し、ハイエンドな製品、多彩な機能を持つ製品、先進的な生活を好む傾向は今後も維持される見通しである。(Gfk)

ベトナムの化粧品(コスメ)市場

ベトナム人の美意識は年々向上しており、消費者は化粧品、美容製品、スキンケアサービス(スパ、皮膚科クリニック)により多くのお金をかけるようになった。

ベトナムの化粧品市場で最も大きなセグメントは口紅である。特にECの急速な普及は、ベトナム人の消費習慣に大きな影響を与えている。その中で、パーソナルケア製品は2018年と比較して63%増加し、スキンケア製品は55%、メイクアップ製品は25%増加した。(Kantar Worldpanel “Insight handbook 2021”)

しかし、ベトナムの地場化粧品事業者は市場の10%しか占めていない。これらの事業者は低価格セグメントにとどまり、一部の限られた近隣の商圏で販売することしかできない。ベトナムの商業施設では、外国製の化粧品が支配的である。

ベトナムでは化粧品の需要が増加している (出所)現地メディア blog anchoi

化粧品に関するベトナム人の行動の特徴

ベトナム人女性の化粧品消費に関する調査によると、毎日化粧をする人が24%、週に1回以上化粧をする人が44%、特別な時にだけ化粧をする人が45%という結果が出ている。

また、化粧品の売買のための情報検索は、主に友人とウェブサイトの2つで行っており、1ヶ月で平均約30万VND~50万VNDを化粧品に費やしている。

特に若年層、10代の学生にはクレンジング、シャワージェル、ローションなどの基礎化粧品やニキビケア、リップクリームなどのスキンケア商品が浸透し始めている。

購入頻度については、化粧品の種類によって異なる。洗顔料の購入頻度が最も高く、次いでボディローション、パウダー、口紅、香水と続く。

ベトナムでは幅広い世代で美意識の向上が見られる (出所)現地メディア tinale makeup

市場規模 

ベトナムの化粧品市場規模は約23億米ドルである。中でもスキンケア用品は最も人気があり、60%以上の消費者が毎日使用している。(Mintel)

ベトナム全国の化粧品店数は、2021年の87店から2022年は124店となり、40%増加した。店舗の多くは、ハノイとホーチミンの2大経済都市に立地している。(Statista)

さいごに

今回の記事ではベトナム人の現代的なライフスタイルを読み解くという観点から、現地の娯楽産業・エンタメ産業を中心に関連する市場について解説・考察した。

今回取り上げたベトナムの産業は、総じて今後も成長するという見方が強い。また、今後は前述の産業の単純な規模の増大だけでなく、より細かいニーズを満たすようなニッチ市場が誕生するとも考えられる。

一方で、どの産業もまだ成熟しきっていない市場であるともいえる。店舗数などだけではなく、技術やノウハウの部分では、日本企業の方が優れていると思われ、この点に日本企業の参入余地もあると考えられる。

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