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ベトナム物流・倉庫市場:2021年後半の最新事情;コロナ影響

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ベトナム物流・倉庫市場:2021年後半の最新事情;コロナ影響

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このレポートのサマリー
  • ベトナムの物流・倉庫市場はコロナのネガティヴな影響を受けつつも、経済発展による中間層の拡大、消費市場の成長といった長期トレンドから今後も成長が続くと見られる
  • 特に今後は倉庫サービスはポテンシャルが高いセグメントと考えられ、日本企業にとってもポテンシャルが高いセクターになると考えられる

ベトナム物流サービス産業(ロジスティクス)の市場規模

ベトナムの物流サービス産業(ロジスティクス)は、商業・貿易の分野において先駆的な役割を果たしており、ベトナム国内の経済発展の促進・国際競争力の強化に貢献している。ベトナムロジスティクス協会(VLA)の報告によれば、2021年のベトナムの物流サービス産業(ロジスティクス)の全体的な成長率は14〜16%と予測しており、年間で400億米ドルの市場規模に達するとしている。

世界銀行が発表した2018年の物流パフォーマンス指数(Logistics Performance Index=LPI)ランキングによれば、ベトナムの獲得スコアは3.27で、前回の調査から順位を25ランク上げて160か国・地域中39位となった。ASEAN域内では3位である。

2019年のCRIF D&B ベトナムの報告によれば、ベトナムの物流サービス産業(ロジスティクス)の収益は継続的な成長傾向にあり、売上高は2017年の305,825百万ドンから2018年には325,294百万ドンまで6.8%増加し、 2019年には332,634百万ドンとなった。又、粗利益率も2017年の12.23%から2018年には12.46%に増加し、2019年には最高レベルの12.68%に拡大した。

ベトナム国内には現時点で現地及び外資系も含めて、物流サービス産業(ロジスティクス)のサービスを提供する企業は約4000社あり、その97%が中堅・中小企業である。そのうち、主な事業がフォワーディング業務、輸送、倉庫および税関に関する業務だとされている。

物流サービス産業(ロジスティクス)市場の動向

物流サービス産業(ロジスティクス)の定義

2005年のベトナム商法によると、「ロジスティックスサービス」とは、「商人が顧客との合意に従い、物品の受領、輸送の手配、倉庫業務、保管、通関手続、その他書類作成、コンサルティング業務、梱包、標示の貼付、配送、並びにその他物品に関連する業務を含む、ある一つの又は複数の業務(one or more tasks)を遂行し、それに対する報酬を受領する商業活動」と定義されている。

ベトナム政府議定No.163/2017/ND-CPでは、より具体的に「ロジスティックサービス」とは次のような 17の分類に定められている。

(1)コンテナ積み降ろしサービス(空港でのサービスを除く)

この写真はハイフォン市で撮影されたもの。ハイフォン市はベトナムの中央直轄都市であり、ベトナム北部を代表する港町。https://e.vnexpress.net/news/business/industries/container-shortage-hits-exports-4215178.html

(2)海運補助サービスに属するコンテナヤード・倉庫サービス

(3)あらゆる運送方式の補助サービスに属するコンテナヤード・倉庫サービス

(4)配達サービス

(5)貨物運送代理サービス

(6)税関手続き代理サービス(通関サービスを含む)

(7)その他のサービス:運送証券検査、貨物運送仲介サービス、貨物鑑定、サンプル採取及び重量  確認、貨物の受取・受入サービス、運送証書準備サービス

(8)貨物の保管、回収、集積、分類の管理及び納品を含む卸売及び小売補助サービス

(9)海運サービスに属する貨物運送サービス

(10)内陸水路運送サービスに属する貨物運送サービス

(11)鉄道運送サービスに属する貨物運送サービス

(12)道路運送サービスに属する貨物運送サービス

(13)航空運送サービス

ベトナム航空は、ベトナムの公営の航空会社。https://datvemaybayvietjetair24h.blogspot.com/2013/12/hang-hang-khong-vietnam-airlines.html

(14)複合一貫運送サービス

(15)技術分析及び検定サービス

(16)その他運送補助サービス

(17)ロジスティクスサービス事業者と顧客が商法の基本原則に基づき合意したその他サービス

​物流サービス産業(ロジスティクス)に対する外資規制

ベトナム政府は2020年の投資法、投資法の条項の詳細な規定及び施行を案内する政府議定No.31/2021/ND-CPを公布し、外国投資家に対する市場アクセス制限分野、業種リスト(従来の外国投資家に対する条件付き投資分野、業種のリストに代わるもの)を規定した。それによれば、「ロジスティックサービス」は外国投資家に対する条件付き投資として、ベトナム市場での事業展開を認める業種と規定されている。

ベトナムでは、条件付き投資分野、業種及びそれらに対する投資条件は,「ベトナム国家企業登記ポータル(https://vietnaminvest.gov.vn/SitePages/home.aspx)」に掲載されている。

「ロジスティックサービス」の17分類の中では条件が課されない分類もある。例えば、倉庫サービスを経営する100%外資企業の設立は認められている。

物流サービス産業(ロジスティクス)市場の主要なプレーヤー

ベトナム現地報道によれば、2020年の国内トップの物流サービス(ロジスティクス)企業は次の通りである。

国際貨物輸送、倉庫サービス、代理サービス

#社名国籍
1Gemadept Corporationベトナム・韓国
2Indo Trans Logistics Corporation多国籍企業
3DHL Express多国籍企業
4Transimex Corporationベトナム
5Expeditors Vietnam Company Limited多国籍企業
6Schenker Vietnam Company Limited多国籍企業
7Kuehne+Nagel Company Limited多国籍企業
8Bee Logisticsベトナム
9SOUTH LOGISTICS JOINT STOCK COMPANY (SOTRANS)ベトナム
10VINAFREIGHTベトナム
Gemadept Corporationは1990年に設立され、2002年から株式市場に上場した。httpswww.vietnamworks.com/company/GMD-Corporation

貨物輸送サービス

#社名国籍
1PVT Transベトナム
2Vietnam National Shipping Lineベトナム
3PG Tanker Corportionベトナム
4GSP Gas shippingベトナム
5Tan Cang Waterway Transportベトナム
6Pacific Petroleum Transportation JSCベトナム
7VINAFCOベトナム
8Viet Thuan Transportsベトナム
9Traco Logisticsベトナム
10Vietnam Petroleum Transport JSC (Vipco)ベトナム
PV Transは石油、ガス輸送サービスを提供する会社として2002年に設立された。https://petrovietnam.petrotimes.vn/pv-trans-tiep-nhan-tau-cho-hang-roi-pvt-sapphire-521955.html

宅配便・配送のサービス③

#社名国籍
1 Viettel Postベトナム
2Vietnam Postベトナム
3Hop Nhat International JSCベトナム
4GNH Expressベトナム
5Tan Cang Waterway Transportベトナム
6FUTA Epressベトナム
Viettel Post は国内サービス以外に、 物流サービス や国際宅配便などの国際サービスも行っている。https://en.qdnd.vn/economy/military-businesses/viettel-post-boosts-logistics-capacity-513927

ベトナム物流サービス産業(ロジスティクス)市場の課題

ベトナムの物流サービス産業(ロジスティクス)の課題については主には以下のような課題が指摘されている。

コロナ禍により、世界各国はコロナ禍の流行を防ぐためのロックダウン対策を講じることを余儀なくされた。コロナは物流(ロジスティクス)活動に深刻な影響を及ぼし、サプライチェーンと貿易の流れを混乱させてしまった。 VLAによれば、コロナ流行で、2019年の同時期に比べて、全体で15%の企業が収益の50%を失い、50%以上の企業が国内および国際的なロジスティクスサービスの数を10%から30%まで減少したとされている。国境ゲートでの通関サービスが阻害され、倉庫サービスや運賃にも大きな影響が出たため、輸送などの物流活動が減少した。

ベトナム物流サービス産業(ロジスティクス)市場の今後

今後の成長要因

ベトナムの物流サービス(ロジスティクス)業界においては、自由貿易協定の増加と電子商取引(EC)拡大が業界発展に大きく貢献するだろう。

ベトナム経済専門家によれば、ベトナムのロジスティクス部門は、コロナ収束後、大転換の時期を迎えると評価している。具体的には、裾野産業の発展と電子商取引(EC)活動の増加により、ロジスティクスは投資を以前にも増して呼び込み、多くの開発機会を持つ分野になると評価している。

ベトナム政府は現在、経済成長の目標を達成するための施策を進めている。(GDP成長のターゲット目標は2021年に6%増加)

また、FTAを含む自由貿易協定(FTA)が発効され、ベトナムが商品の輸出入の促進から利益を得るのに役立つ。 13の二国間および多国間自由貿易協定(FTA)が発効され、新たにRCEP協定が署名されるほか、2つのFTAが交渉されており、ベトナムは世界で最も開放的な経済国の1つとなり、サプライチェーン開発に大きな機会を生み出す。

倉庫サービスの発展

コロナ流行による世界的なサプライチェーンの構造変化により、ベトナムは国内輸送サービスの発展だけでなく、グローバル規模での潜在的な「倉庫センター」になる可能性がある。

JLLベトナムによれば、過去24か月(2019~2020年)で、30億米ドルの投資額がロジスティクスシステムと最新のロジスティクスセンターに投資されている実際、ベトナムのロジスティクスセンタープロジェクトの数は急速に増加している。

現在の傾向として、企業は業界のトッププレーヤーと協力して大規模な倉庫に投資し、ロジスティクスセンターと呼ばれるセンターに複数の倉庫機能を統合する傾向が強い。 また、情報技術と自動化によってガバナンスを強化すること、グリーンロジスティクス、つまり再生可能エネルギーをロジスティクスセンターと倉庫の管理と運用に適用することが最近になってますます注目されている。

結論:ベトナム物流サービス産業(ロジスティクス)市場

コロナ影響が続くなかであるが、ベトナムの物流・ロジスティックス市場の成長は今後も継続していくだろう。中間層の増加により、消費市場が急成長するなか、今後は特に倉庫サービスの需要は特に拡大していくと見られる。

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