ベトナムの産業別FDI投資額の現状
ベトナムは東南アジアで比較的安定した成長率を維持しており、今後最も成長が期待される市場の一つと認識されている。また、人口規模が拡大しており、今後は人口ボーナス時期を迎えていくと考えられる。 そのため、ベトナムは海外投資家にとって、製造業、サービス業等の様々な分野において、非常に魅力的な投資先だと評価されている。
ベトナムは多くの企業にグローバルチェーンを形成するための魅力的な生産拠点として評価されるとともに、最もホットな不動産市場としても注目されている。2020年9月までにベトナムへの海外からの投資累計を見ると、製造業の次には、不動産業界が続いている。ベトナムの人口が増えている背景において、ハノイ、ホーチミン、ダナン等の大都市では不動産のニーズが非常に高まっており、海外投資家からも不動産業界が注目されている。本レポートでは、海外投資家にとってベトナムの不動産業界がどのような投資ポテンシャルを抱えているのかについて見ていきたい。
ベトナムにおける投資トレンド・法規制
ベトナムでは土地の所有者は全て国家であり、個人は土地の使用権を購入することによってその土地を利用できる。現在、海外投資家に対する不動産投資規制が緩和されたことにより、販売・賃貸を目的とする住宅マンションの物件に対して最長50年間の購入が認められている。住宅マンションへの投資はベトナムの不動産投資の区分において、人気度が2位の投資区分になっており、当物件への投資がいま最もポテンシャルを抱えている投資形態であると言える。
住宅マンションの不動産供給の現状
近年、ベトナム人口のうち、都市部の人口が増えており、2020年8月時点で約37%を占めている。つまり、今後とも都市部、都市部近郊の住宅不動産のニーズが高まっていくと考えられる。さらに経済発展に伴い中間層が厚みを増してくることにより、中流レベルの不動産が今後ニーズの高いセグメントであると考えられる。その証左として、現在は中級レベルの住宅マンションの供給が非常に多くなっている。中級レベルとは全国レベルでは分譲価格が1,000-2,000USドルの物件であり、物件価格の平均が高いホーチミン市においては1,500-2,500USドルの物件である。また高級レベルの物件の供給も増えている。2009年からのレベル別の物件供給数を見てみると、前半では一般レベルの物件供給数が多いが、現在に近づくにつれより高いレベルの物件の供給が増えていることがわかるだろう。
まとめ
概観してきた内容は、下記のようにまとめられる。
- ベトナムにおける投資先として不動産セクターは特に注目を集めている。
- 海外投資家の不動産への投資は一部法律により制限されているため、住宅マンションへの投資が海外投資家にとっては最もポテンシャルが高い
- 近年は中間層が増えてきていることから、分譲価格1,000-2,000USドルの中級マンションが特にニーズが高く、供給も増えている